矯正治療を早く終わらせるためにできることってあるの?
投稿日:2025年12月17日
カテゴリ:スタッフブログ
矯正治療は、歯並びや噛み合わせを整えて口腔機能を改善するための大切な医療行為です。しかし、治療期間が長期にわたる点は、多くの患者さんが気になるポイントではないでしょうか。
一般的に矯正期間は治療計画や治療方針により大きく左右されますがおおよそ平均して1年半〜3年ほどかかると言われています。しかし、矯正治療の計画内容や進め方、患者本人の矯正治療中の日々の習慣付けによって、矯正治療をある程度短くしたり最短で終えることも出来ます。
もちろん、歯は骨の中でゆっくりと動くことで安定した経過が得られるため、無理にスピードを優先しすぎることは厳禁です。しかし、“できる範囲で効率を最大化する工夫” は存在します。本記事では、矯正期間を少しでも短くスムーズに進めるためのポイントについて解説します。

定期的なチェックを必ずうけること
矯正治療を早く終えるうえで、もっとも基本かつ重要なポイントが 通院スケジュールを守ること です。
矯正装置は定期的に調整を行うことで歯の動きが最適化されます。予約から大きくずれてしまうと、歯の移動が予定通りに進まなかったり、治療に遅れが生じるだけでなく場合によっては治療計画そのものを修正しなければならなかったりする場合があります。
※難症例の矯正治療であったり、何らかの要因で想定通りに進まないケースもあります。
ポイント
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・調整間隔は通常4〜6週間
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・予約を守るだけで治療の進行がスムーズに
治療のペースを乱さないことが、期間短縮の第一歩です。
矯正加速器の適用
最近では、マウスピース矯正を対象に矯正加速器を併用することで治療期間の短縮が可能になっています。
矯正加速器とは、使用することで矯正の進行を早めることができる機器で、近赤外線を照射するタイプがメジャーです。それを指定された時間口腔内に照射することにより代謝を促進し矯正で必要な歯の移動が1.5~2倍近く早くなります。また、矯正に伴う不快事項(痛みなど)が70%ほど抑制されるという報告もあります。
治療期間も短縮できて不快事項を軽減でき、矯正治療を快適にすることができますが、機器が買い切りになることや、高価であることがネックといえるでしょう。
様々な会社から販売されているので、使用方法もそれぞれ異なりますので、主治医の説明や添付文書に記載されていることを遵守するようにしましょう。
ポイント
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・矯正期間が半分~2/3に短縮できる
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・痛みなどの矯正に伴う不快事項も減少させられる
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・機器が高価
マウスピース矯正を快適に短期間で行うことができます。
装置の破損・変形を防ぐ
矯正期間が延びる原因でよくあるのが装置の破損・脱離です。歯の表面に接着したブラケットをはじめとする器具や、ワイヤーや口腔内装置が曲がったり変形したりすると、本来の動きが止まってしまい、その分治療期間が延びてしまいます。
破損・変形の主な原因
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・固い食べ物(せんべい、ナッツ類、氷など)や、粘着性のある食べ物(キャラメル、ガム)
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・強い歯ぎしり食いしばり
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・スポーツなどによる外からの衝撃
対策
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・食事は一口を小さくする
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・食品の性状を一時的に柔らかめにするなど、コントロールする
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・ガムやキャラメルといった粘着性のある食品は矯正中は避ける
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・歯ぎしり食いしばりが強い方は、歯や顎、装置を守るため暫間的にナイトガードを併用
装置トラブルは治療進行の遅延につながるため、生じないに越したことはありません。しかし、どれだけ気をつけていても生じうるのも事実です。トラブルが起きたとき、自己判断しかねるところは歯科医院に連絡して判断を仰ぐようにすると良いでしょう。
着脱可能な矯正装置の場合は装着時間を厳守する
マウスピース矯正をはじめとする着脱可能な矯正装置は 「装着時間の管理」が最重要ポイント です。
インビザラインなどのマウスピース矯正は、1日20〜22時間装着が推奨されています。また、小児矯正などで用いる床装置などは歯科医師や歯科医院の方針で指定される時間がかなり異なっています。いずれにしても一日あたりの装着時間が満たせないと治療が計画より大幅に遅れてしまいます。
装着時間を上げる工夫
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・食事後はすぐに歯磨きを済ませ、矯正装置を戻す習慣をつける
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・出先でも携帯用のケースや歯ブラシセットを常備する
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・装着時間を管理するアプリなどを利用して
着脱可能であることはメリットですが、その分自己管理が求められます。
口腔内を清潔に保つことも重要
矯正治療中にむし歯や歯周病になると、それらの治療のために矯正を中断する必要があります。とくにむし歯治療は装置を一度外さなければならなかったり、詰め物や被せ物で歯の形が変わってしまう場合は新たに作り直さなければならないケースがあり、その分治療が後ろ倒しになってしまいます。
予防のためのポイント
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・歯ブラシだけでは不十分。歯間ブラシ・フロスの併用が必須
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・装置周囲の磨き残しを意識
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・定期的なプロフェッショナルクリーニング
矯正中はどうしても磨きにくい部分が増えるため、が治療期間に大きく影響します。
指示通りにゴムかけ(顎間ゴム)を行う
矯正治療では、顎の位置の誘導や噛み合わせの仕上げとして上顎と下顎をまたぐ顎間ゴムを使用することがあります。このゴムをサボってしまうと、歯や顎の誘導が想定通りに進みにくくなり、期間が大幅に延びる原因 となります。
顎間ゴムを継続するには
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・手元に無いと継続しにくくなるので外出先にも替えのゴムを持ち歩くようにする
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・毎日指定された時間を目標に顎間ゴムを実施できるよう習慣化できる
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・毎日写真で顎や歯の位置が変わってきていることを記録するとモチベーション維持しやすい
ゴムかけは確かに煩雑で面倒かもしれませんが、矯正において治療成績を左右する、大事な役割を持っています。
担当医とのコミュニケーションを密にする
必要以上の痛みや不具合、生活で困っていることを我慢してしまうと、装置に影響が出たり、歯の動きが進みにくい状況を招くことがあります。困ったことは早めに相談し、適切に調整してもらうことが治療の効率化にもつながります。

まとめ
矯正治療は指定された時間だけ装置の装着や器具の使用を求められたり、生活習慣の一部を変えたりする必要に迫られたり、さらに矯正中のトラブルは大なり小なり生じてきます。なので面倒くささや煩雑さを感じて矯正治療そのものがストレスフルになってしまうことも不思議ではありません。
しかし、矯正治療の遅れを防ぐ工夫を積み重ねることで、計画通り・あるいはより効率よく治療を進めることで実質最速で治療を終える事ができると言えます。矯正治療が満足いく結果につながるよう、指示やルールを守り、わからないことがあれば自己判断せずに歯科医院・歯科医師に指示を仰ぐようにしましょう。
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