矯正治療が失敗したらどういったことが起こるの?
投稿日:2025年6月4日
カテゴリ:スタッフブログ
矯正治療は、歯並びや噛み合わせを整えるための医療手段です。しかし、矯正治療が必ずしも100%成功するわけではないことは矯正治療を行う前に知っておく必要があるかと思います。
「矯正治療の失敗」とひと言でいっても、その定義や内容はさまざまですので、本記事では矯正治療における失敗の定義をいくつかのパターンに分け、具体例とそれによって生じるリスクについて詳しく解説します。
1. 仕上がりの見た目が希望と違うケース
おそらく最も多いのがこちらです。矯正治療を行うことで解決すると思われた歯並びの問題が想定より変わっていなかったりするケースです。
失敗例:
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・思っていたより歯並びがガタついている。
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・歯並びの治したいと思っている部位(出っ歯や受け口など)の改善が不十分だった。
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・笑ったときの歯の見え方がイメージと違った
解説:
矯正治療は、事前に実施する歯科医師が治療計画を立てるものの、微妙な仕上がりの差が最終的に「失敗」と感じられることがあります。これは歯科医師との認識違い、十分な相談や説明不足や伝達不足、患者自身のゴールイメージを歯科医師側が十分に思い描けていない曖昧さが原因になりがちです。そのため、矯正の治療相談の際には歯並びのここを治したい!という点やそれを叶えるために必要なことやリスクなどの説明をしっかりと受けることが何よりも重要です。
2. 噛み合わせが悪化するケース
見た目の改善は満足しているが、噛み合わせが矯正治療前と比べて悪くなったケースです。
失敗例:
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・見た目は良いが上下の歯がしっかり噛み合わない。
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・奥歯だけが接触し前歯が噛み合わない「開咬(かいこう)」になる。
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・一部の歯だけに過剰な負担がかかるような噛み合わせになる。
解説:
矯正は見た目の改善だけでなく、噛み合わせ(咬合)のバランスが非常に重要ですが、現状見た目を解決することに矯正治療が終始してしまい、噛み合わせが二の次になるケースが生じることも事実です。それにより食事がしにくくなったり、顎関節症のリスクが高まり顎関節から雑音がしたり、噛み合わせの変化に伴う顎の周囲の筋肉の緊張が生じて首筋の張りや肩こり、頭痛などの原因となることがあります。
3. 後戻りが著しく生じたり早期にあらわれるケース
失敗例:
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・矯正装置を外した直後に歯並びが崩れてきた
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・リテーナーをしていたのに後戻りが起こった
解説:
後戻りは必ずしも「失敗」とは言い切れません。というのも、後戻りはどんなにしっかりリテーナーを装着していても生じるからです。しかし、患者自身のリテーナー装着時間・期間不足であったり、リテーナーの定期的な管理不足、または歯科医師の指導不足やリテーナーの設計選択が適切でなかった利した場合は、想定より後戻りが生じやすくなります。
4. 歯や歯根へのダメージが起こるケース
矯正治療において、過剰な力を用いての歯の移動をしたときに起こり得るケースです。
失敗例:
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・歯根吸収(歯の根が短くなる現象)が進行する。
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・歯の神経がむし歯や外傷がないにも関わらず死んで変色してしまう(歯髄壊死)。
解説:
過剰な矯正力、過度に短期間で歯を動かした場合、歯根が溶けたり歯の神経がダメージを受けるリスクがあります。なお歯根が溶けた場合、戻ることはありません。そのため、矯正終了後・または中断して病的な揺れがないか経過観察をします。歯の神経が死んでしまった場合は、歯の神経を取る処置(根管治療)が必要になります。
まとめ
矯正治療の「失敗」とは、単に見た目が整わないことだけではありません。噛み合わせの不良、後戻り、歯のダメージ、さらには身体全体の不調にまでつながることがあります。
特に注意したいのは、
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・見た目は良くても噛み合わせが悪い
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・噛み合わせは良くてもすぐに後戻りする
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・矯正によって歯や顎にダメージが残る
これらは矯正治療との関連を切り離されて考えられがちで見過ごされやすい失敗のパターンです。
矯正治療を考えている方、もしくは治療中の方は、しっかりと歯科医師とコミュニケーションを取り、矯正治療に期待する点や要望をちゃんと伝え、納得した上で治療を進めることが、矯正を成功させる最大のポイントといえるでしょう。
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