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高血圧とインプラント治療の関係って?

投稿日:2025年9月24日

カテゴリ:スタッフブログ

インプラント治療は、失った歯を補うための優れた方法として広く行われています。しかし全身疾患を抱えている場合、治療に影響を及ぼすことがあります。その代表は、前回の記事でお話した「糖尿病」のほかに「高血圧」もあげられます。

高血圧は日本人の生活習慣病の中でも特に患者数が多く、40歳以上の2人に1人が抱えているともいわれています。歯科治療においても、高血圧はオペの安全性や術後の予後に直結するため注意が必要です。

今回は「インプラント埋入オペそのものへの影響」と「オペ後の管理における関係性」に分けて解説します。


1. インプラント埋入オペに対する影響

術中の血圧上昇リスク

インプラントの手術は、局所麻酔下で行うのが一般的です。しかし手術という馴染みのない状況下では、緊張や不安から交感神経が刺激され、血圧が上昇しやすくなります。特に高血圧の患者さんは、術前の血圧管理が不十分だと急激な上昇を招き、脳出血や心筋梗塞などのリスクが高まります。

また、一般的に使用される局所麻酔薬には「アドレナリン」が添加剤として含まれています。適用箇所の止血や麻酔効果を高める為に含まれているのですが、高血圧の患者さんでは血圧上昇させる可能性があります。そのため局所麻酔薬の使用量や調整することが重要です。


出血コントロールの難しさ

当然のことながら、インプラント埋入手術は観血的(外科的)処置になります。そのため、治療高血圧状態では術中の出血が止まりにくい傾向があります。止血不良は手術を行う術野の確保の妨げになり処置時間が延長したり、止血されないことによる傷の閉鎖遅延による感染リスクの増大につながります。


抗血小板薬や抗凝固薬の併用

高血圧の患者さんのなかには、脳梗塞や心筋梗塞の既往があり、抗血小板薬や抗凝固薬を服用しているケースが少なくありません。これらの薬は血液を固まりにくくする作用があるため、ただでさえ止血しにくい状況が出血傾向が強まることで、さらに止血しやすくなります。当然、手術時のリスク要因となりますので、それらの服薬の中断や継続については、必ず内科医と連携して判断する必要があります。


■ 対策

オペ日までに執刀歯科医師は内科主治医と連携し、薬の管理や全身状態を把握する必要がありますので、対診をお願いすることがあります。また、患者本人はインプラント埋入手術当日の朝と術前に必ず血圧測定を行い、収縮期血圧160mmHg以上の場合は原則延期を検討しなければなりません。

術中においても、局所麻酔薬の使用量や種類に注意し、出血コントロールを行いながら手術を行います。

精神的に安定させ、リラックスできる環境作り(音楽や説明)を行い、不安や緊張による血圧上昇を軽減させる試みも有効です。


2. インプラントオペ後の管理における影響

創傷治癒の遅れ

高血圧そのものが直接的に治癒を妨げるわけではありませんが、長期間の血管障害や動脈硬化によって血流が悪化し、組織修復力が低下する可能性があります。その結果、インプラント周囲の歯肉や骨の治りが遅れることがあります。


インプラント周囲炎リスクの増加

高血圧患者は全身的な炎症傾向が高いことが報告されています。そのため歯周病やインプラント周囲炎を発症しやすく、長期的な安定性に影響を及ぼす可能性があります。特に糖尿病を併発している場合はリスクが大幅に高まります。


薬の副作用による口腔環境の変化

高血圧治療薬の中には、歯肉増殖(特にカルシウム拮抗薬)や口腔乾燥を引き起こすものがあります。歯肉増殖は清掃性を低下させ、プラークがたまりやすくします。また、口腔内乾燥が生じると唾液による抗菌作用や自浄作用が低下しますので、インプラント周囲炎のリスク要因となります。


■ 対策

処方・服用している高血圧治療薬の副作用を歯科医に伝え、必要に応じて歯科医師・歯科衛生士から適切な清掃方法の指導を受けると良いでしょう。それをもって日常的なプラークコントロール(歯間ブラシ・フロス)を徹底するようにしましょう。

また、血圧を安定させるために、生活習慣改善(減塩、適度な運動、禁煙)も心がけるようにしてください。


まとめ 高血圧患者でもインプラント治療は可能、ただし条件付き

高血圧はインプラント埋入時の手術だけでなくインプラントそのものの管理にも大きな影響を与えます。

術中では出血量の多さや止血の困難、局所麻酔薬にふくまれる添加剤(アドレナリン)が問題となりますし、術後では治癒遅延やインプラント周囲炎のリスク増大や、降圧薬の副作用による歯肉増殖に伴うプラークコントロールのしにくい口腔環境への変化や口腔乾燥による自浄作用の低下がありえます。

しかし、高血圧があるからといってインプラント治療が不可能になるわけではありません。大切なのは、術前からの血圧管理と、術後の定期的なフォローアップです。

歯科医と内科医が連携し、患者自身も生活習慣を見直すことで、高血圧を抱えながらでも安心してインプラント治療を受け、長期的な安定を得ることは十分可能です。

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