安心して矯正治療を受けるために知っておくべきことって?
投稿日:2025年8月3日
カテゴリ:スタッフブログ
「歯並びをキレイにしたい」「噛み合わせを治したい」と矯正治療を行うことについて積極的に検討される方が年々増えているように感じます。しかし一方で、矯正治療に対して「痛そう」「長くかかりそう」「本当にうまくいくの?」という不安を抱える方も少なくありません。
矯正治療は規模や程度に差はありますが、どうあれ歯や顎の構造に直接関わる医療行為です。安心して納得のいく矯正治療を受けるには、事前にしっかりと情報を集め、理解しておくことが何よりも重要です。
今回は、「矯正治療を安心して受けるために必要な準備・知識」について、わかりやすくまとめてみました。これから矯正を検討している方、すでに治療中の方にも役立つ情報です。
1. 信頼できる歯科医院・矯正専門医の選び方
矯正治療を成功させるうえで最も重要なのは、経験豊富で信頼できる歯科医師に出会うことです。
選ぶ際にチェックすべきポイント
- ・治療の症例数や実績が豊富か … HPなどに掲載されている症例などが多かったり、それに関するブログの記事が豊富であれば知識的な信頼度は高いと言えるでしょう。
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・説明が丁寧で、リスクや限界も正直に話してくれるか … 個々の口腔内の状況や生活状況などに合わせた治療の選択肢を適切に提示できて、それぞれの方法の特徴(メリット・デメリット、治療期間のめやす、リスクなど)を明示出来ているのが良いでしょう。
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・無理に高額なプランを勧めてこないか … あたかも「この高額なプランしか方法がないです」と誘導するようなコンサルを行うことは原則避けられるべきかと思います。しかし、症例の難易度や矯正治療に対する要望などの観点から「このプランしか有効な方法がない」というケースは確かに存在するので、一概に断言はしかねるので要注意です。
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・設備が整っており、定期的なフォローがしっかりしているか … 比較的新しい機材を積極的に導入している歯科医院なら、最新技術や手法を取り入れる意欲が高い先生が在籍している可能性が高いです。また、定期的な調整が必要な矯正の場合、しっかり時間を確保して調整する枠を設けたり、口腔内の写真や記録をまめにとる仕組みづくりができているほうが信頼が高いといえます。
口コミやレビューだけでなく、カウンセリングを複数の医院で受けることも非常に有効です。
2. 矯正治療の種類と費用を正しく理解する
矯正治療にはいくつかの方法があり、それぞれ費用や治療期間、見た目への影響が異なります。もちろん、矯正治療で改善したい主訴内容をかなえる上で選択肢が限られることも考慮する必要があります。
主な矯正方法
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・ワイヤー矯正 … 表側に装置をつける従来のものと、裏側(舌側)につけるものがあります
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・マウスピース矯正 … インビザラインが主流。様々な会社がシステムを作っていて種類が豊富
矯正の範囲による分類
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・部分矯正 … 過去の矯正後の後戻りだったり、前歯などの小規模な乱れの改善に
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・外科的矯正 … 専門的な診断の結果、骨格的な発達不全やズレがある場合に適用
料金の相場
費用は30万円〜150万円程度と歯科医院や治療方法、矯正の規模などによって大きく幅があります。医療費控除の対象になる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
また、見た目や快適さも重要ではありますが、「自分の状況や主訴に合った方法かどうか」を判断するには、診断と相談をしっかり受けることが必要です。
3. 治療中に起こる可能性のあることを知っておく
矯正は早くても数ヶ月、長いと数年規模になる治療です。その間に起こりうることや注意点、対処方法などを事前に把握・理解しておくことで、治療に対する不安を減らし、より安心して治療に臨めるようになります。
知っておくべき治療中の可能性
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・痛みや違和感 … 装置調整後に当日~数日間にわたって生じやすい
- ・装置による傷 … 口腔内外に装置が強く当たったり擦れることで傷になる
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・虫歯や歯周病リスク上昇 … 口腔内の装置の影響でプラークコントロールが難しくなる
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・見た目の変化 … いい意味でも悪い意味でも見た目に変化がある
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・一時的な噛み合わせの不安定 … 歯や顎の位置を動かすので噛み合わせが不安定に
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・歯根吸収や歯肉退縮 … 過度に強い力がかかったりしたときに生じうる
- ・装置の脱落 … 歯に接着固定するタイプの装置で生じる
こういった可能性があることを理解し、こういった事が起きた場合の対処方法や流れなどを医師がきちんと説明してくれるかどうかを確認することが重要です。
4. 保定装置(リテーナー/後戻り防止装置)の重要性を知っておく
矯正が終わったからといって「治療完了」と思ってしまうのは大きな誤解です。むしろ歯並びを維持するための保定期間のほうが非常に重要になってきます。
治療後にはリテーナー(保定装置)を使用して、歯が元の位置に戻らないように固定します。これを怠ると「後戻り」と呼ばれる再移動が起きてしまい、せっかくの矯正が台無しになってしまう可能性があります。
リテーナーの装着期間は最低でも治療期間と同等か倍の期間、可能であればそれ以上、さらに言えば一生にわたっての装着を推奨することもあります。
しかし、リテーナーを使用したとしても後戻りを100%防止できるか、といえばそれは不可能とされています。しかし、リテーナーを使用したほうが圧倒的にそれを抑止出来るのは事実として間違いありません。
5. 治療期間中の生活への影響を想定しておく
矯正治療中は、普段の生活に多少影響が生じます。起こり得ることや習慣的にしなければならないことなどをあらかじめ理解し、対策を講じておくことが肝要です。
主な生活への影響
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・食事 … 装置へのダメージやトラブルを避けるために硬いものや粘着性のあるものなどの制限
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・発音への影響 … 特に上顎に装着する床装置や舌側矯正で生じうる
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・スポーツや楽器演奏時の不便さ
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・金属装置による口内炎や痛み
これらに対応するために、洗口液の活用、やわらかい食材の選択、歯ブラシ指導どおりの実践などをしておくと安心です。
6. 自分自身が協力し、努力することも大切
矯正治療は、医師に任せるだけで完結するものではありません。患者自身の協力と自己管理が治療の成功に大きく影響します。
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・定期的な通院を欠かさない
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・指示通りに装置を使用する(特にマウスピースやリテーナー、ゴムなど)
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・丁寧な口腔ケアを怠らない
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・不明点や異変をすぐに相談する
治療の主役はあくまで「患者自身」であることを忘れずに、主体的に取り組みましょう。
なお、矯正治療は被せ物や詰め物といった「もの」を提供する治療ではないので、患者の望む理想の結果に合致するような成功を必ず保証する制度は原則存在しません。しかし、自身の思い描く矯正治療の成功に至るためフォローする仕組みが導入されているか、またその仕組みがどの様になっているか説明が明確になされる歯科医院のほうが信頼は高いと言えるでしょう。
まとめ:矯正治療は「知って備える」ことで安心につながる
矯正治療は、見た目の美しさだけでなく、健康的な噛み合わせや全身の健康に直結する重要な医療行為です。だからこそ、ただ「歯を動かす」だけではなく、「治療の意味や全体像を理解し、納得したうえで受けること」が非常に大切です。
後悔しない矯正治療のために、“知ること”が何よりの安心につながります。不安なことがあれば、まずは専門の矯正歯科に相談してみてはいかがでしょうか?
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