EAO (ヨーロッパインプラント学会)に参加してきました
投稿日:2025年10月8日
カテゴリ:インプラント専門医ブログ
先日、モナコで開催された EAO(ヨーロッパインプラント学会)に参加しました。
参加期間中の治療アポイントに制限がありましたこと、誠に申し訳ありませんでした。その分、最新のインプラントに関する学びをさせて頂きました。ありがとうございました。
EAOは、(European Association for Osseointegration の略)インプラントにおける国際的な権威ある学会の一つで、歯科医師、研究者、技工士など世界中の専門家が集います。
学会では、基礎的な事から臨床、技術革新を含む広範囲な領域で発表、議論が行われます。
今回の注目すべきテーマとしては、
・インプラント治療のタイミング : 即時インプラント や早期インプラントと待時インプラント、荷重のタイミングが臨床成績や骨変化に与える影響を比較する研究が多くありました。より早く低侵襲で安全にインプラント治療が行えるよう、議論が行われました。当院でもすでに抜歯と同時にインプラント を埋入する 抜歯即時インプラント埋入や、インプラント手術当日に歯を装着する即時負荷のインプラント治療を行っておりますので、より安全で確実にできるよう、内容を革新して行きます。
・骨再生、骨造成 : 骨の少ない部位に人工骨や人工膜を使用して骨を作る技術もどんどん進化していますが、なるべく骨を足したり作ったりしないで、長さが短くて経の太い ショートインプラント を用いた グラフトレス(骨移植なし)コンセプトのインプラントも多く取り入れられています。骨を作らなければインプラントできないと言われた方も、ショートインプラントを用いれば造骨が避けられる可能性があります。 ショートインプラントは、最近の取り入れているクリニックも増えていますが、ショートインプラント=簡単 という訳ではなく、むしろ高度な技術や知識が必要で、どんな場合でも適応できるのではなく、造骨や骨再生が必要な場合ももちろんありますので、しっかりとした診査診断が必須です。
・骨レベルの変化 : 装着したインプラント上部構造が周辺骨に及ぼす影響が解明されてきました。従来の方法のように、インプラントを骨の高さぴったりに入れるより、歯肉の厚みを考慮して歯肉縁から4mm深い部位にインプラント がある方が周辺骨が安定し、骨の吸収を避けることができます。 ですので、インプラントの上部構造を作成する歯科技工士も、このような事を学び、深くにあるインプラント から周辺組織に悪影響を及ぼさないような形の上部セラミックの歯を作成しなければなりません。当院では、院内ラボにて、このコンセプトを十分に理解した歯科技工士が、周囲組織に適応した上部のセラミックの歯を作成しています。
・軟組織相互作用 : インプラント周囲の軟組織反応、結合組織、歯肉形態が、インプラントの長期予後や審美性にもたらす影響に関しての多くの症例が発表されました。この分野は、以前から我々も必要性を感じて、特に注目しています。
・技術革新 : 新しい技術、材料、設計、デジタルワークフローに関して、より安全で正確なインプラント治療ができるよう研究されています。 特にデジタル分野の技術革新は年々進化しており、ガイドシステムがよりコンパクトになっている他、会場内の展示では、ロボットがインプラント治療を行える装置が展示されていました。 そんな未来も、そう遠くないかもしれません。
・サバイバル率、予後 : インプラントの長期成績、ネジの緩みや破折、インプラント周囲炎の発症ケースなどの報告がありました。 定期的な、きちんとした予防メインテナンスにより、インプラントの予後は明らかに変わってきます。 トラブル発生時にも、できるだけ早期に対応することで、インプラント 自体を撤去するような、最悪の状態を回避できます。 やはり、きちんと治療して、きちんと予防することが とても大切です!
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